高知の夏の風物詩といえば,全国的にも有名となったよさこい祭りである。
北海道のよさこいソーランが有名な感が否めないが,本家本元は高知の祭りである。
今年も県外からの参加を含め,181チーム,総勢約18,000人の踊り子が高知市内周辺で熱い夏を迎えていた。

しかし,アングラーである私にとって,高知の夏といえば何といってもアカメである。
アカメは幻の魚としてソルトウォータールアーマンにとって一度はキャッチしてみたいターゲットではないだろうか?
今年は高速道路料金引き下げの影響からか,週末ともなると例年以上に多くの県外ナンバーの車がみられ,多くのアングラーが幻の魚とのファイトを夢見て各ポイントでロッドを振るのが散見できた。

アカメは、高知県内のあらゆる場所で狙うことができる。
具体的には各河川やサーフ,磯,港湾部など,普段シーバスを狙うような場所である。
その中で私がアカメを狙うポイントは、太平洋に面した広大なサーフである。

私のアカメゲームは自身の磯ゲームの終了とともに始まり,今シーズンも6月からシーズン最初の1匹を目標にフィールドへ足を運ぶ日が続いていた。
しかし8月中旬を過ぎても私にはキャッチどころかバイトすらない。
今年の初物をキャッチし、私に色々な情報を提供してくれる仲間に、有難くもまた申し訳なく思いながらも釣れない時は過ぎていった。

アカメのシーズン最盛期は夏と言われているが,今年は例年より秋の訪れを感じるのが早く,まだ初物をキャッチできていない私にとって例年より早い秋の訪れはとても淋しくもあり焦りさえ感じていた。

そんな日々が続く8月下旬。なんとか今年の初物をキャッチしたい私は,
「ルアーを水に浸けていないことにはチャンスは訪れない」
と、自分に言い聞かせ,独りサーフに立つ。

夕まずめのタイミングから少し遅れてポイントへ到着。サーフには数組のカップルが晩夏の花火を楽しんでいるが,アングラーの姿は見当たらず,ラッキーな事に貸切状態であった。
この日のサーフの状況は,波はベタ凪状態で,河口からは緩やかな流れがやや東岸へ向けて流れており,数十メートル先で波がブレイクし岸へと打ち寄せている状態。
到着後から数時間,河口際や沖のブレイクライン,広大なサーフを行ったり来たりと,ロッドから伝わる情報をもとに,ルアーやポイントを変え探ってみるがノーバイトである。
干潮を過ぎ満ち潮へとなるが魚からの反応は全くなく,時間経過の焦りと疲労感だけが襲ってくる。

時計を見るとAM2時前。もう6時間近くロッドを振っている。

「今夜もダメかぁ・・あと数投して帰ろう・・・」

と、思いながらリトリーブしていたザブラシステムミノー15Fの抵抗が一瞬なくなった。
反射的にフッキングする!独特の重量感が手元に伝わる。と同時に凄まじい勢いで沖へ沖へとラインが引き出されていく。
ついに来た!アカメだ!!
素早くドラグを少し緩め数回の追い合わせを入れたあと,魚を走らせると共に自身もサーフを走る。
沖で数度のエラ洗いを見せながらもどんどんラインを引き出していくが,50メートル程走った後に魚の動きが止まる。
少しドラグを締め,魚の方向を見定め寄せにかかる。しかし今度は沖で波がブレイクしている方向へ走り出す。そちらへ向かわれるとサンドバーでのラインブレイクの可能性があるため少し強引にテンションをかける。すると方向を変え,再び沖へと走り出す。
数m寄せるとまた走られ,数m寄せるとまた走られの繰り返しでなかなか寄っては来てくれない。
それでも、寄せつ出されつを繰り返し,魚の体力・動きに合わせ,じわじわとラインテンションをかけながら少しずつ寄せてくる。
長時間のキャストとアカメとのファイトでロッドを握る手はパンパンであるが,待ちに待った一匹!この時間こそアングラーにとって至福の一時である。
しかしここで気を抜くと奈落の底に真っ逆さまなので,より一層慎重なファイトを心がける。


15分程のファイトをしたであろうか?
波打ち際から数メートル先までやっと魚が寄って来たのが見えた。あともう少しなのだが,ここからがさらに大変である。
普段なら波の力を利用しサーフへずり上げるのだが,この日の海はベタ凪のためなかなか寄せきる事ができない。巧くやらないと引き波の抵抗と魚の重みでラインブレイクやフックアウトする可能性があるためさらに慎重に対応する。
数度の波をやり過ごし,少し大きな波のタイミングを見計らって無事ランディングに成功。
「やった!


サーフに横たわった魚体は,ファイトの感じから想像していたもの以上に大きく腹はポットベリーでまさにグッドプロポーションである。
また,釣り上げたばかりのシルバーライトゴールドとでも表現すればいいのかアカメ特有のなんとも美しい体色,レッドアイと称されるルビーレッドに輝く眼,まさに待ち焦がれた一匹であった。


計測してみると108cmあり,自身2年ぶりのメーターオーバーとの再会であり喜びもひとしおである。
できるかぎり慎重にファイトしたつもりであったが,対アカメ用にST−56#2番へと変更した3本フックは無残にもすべて開いており,アカメの持つ圧倒的なパワーをあらためて確信させられた。


写真を数枚撮った後すぐに波の影響を受けない場所まで魚を移動し,20分近くのファイトで疲れたであろう魚のエラから十分な酸素を与え,アカメの体力回復を図る。
ゆっくり時間をかけ,しっかりと回復したのを確認したあと,今年も出会えた喜びと,次回さらなる大物となって再開できる事を楽しみに,そして高知の豊かな海と仲間に感謝しつつ無事リリースする事ができた。

フィールドスタッフ 常光 健

■使用タックル
 ロッド : ufmウエダCPS−962FX−Ti
 リール : ダイワ精工・セルテート3000
 ライン : バリバス・ソルトウォーターVEP16lb
 リーダー: バリバス・VEPショックリーダー35lb
 ルアー : ザブラシステムミノー15F(アカキン)